2023年12月20日
仕事も人生もイキイキと自分らしく――。そう願ってはいても、現実には思わぬ困難にぶち当たり、自分の生き方に自信が持てなくなることもあります。自分自身の中に「よりよく生きようとする力」を育て、大きくしていくためには、何が必要でしょうか。「存在意義」をキーワードに見てみましょう。
存在意義とは、わかりやすく言い直すと「自分自身がこの世に存在している理由」のことです。さらに、ひと言でまとめると「生きていく喜び」といえるでしょう。
人は誰しも生きていくうえで入学、卒業、就職、結婚などの節目や転機を経験します。
想定どおりにスイスイ運ぶこともあれば、まったく予期しない展開となることもたびたび。
例えば進学や就職などに際して、希望していた進路に進むことができなかったとき。不本意ながらも別の道を歩むことになったとして、どのように自分の気持ちと折り合いをつけていくのか。また、もともと希望していた進路であっても、「入ってみたらイメージと違った」等の理由から、急に気力をなくしてしまう場合もあるでしょう。
「こんなつもりじゃなかったのに……」
「これから何を目標にすればいいのか……」
「自分を生かせる場所はどこ?」
思わぬ展開に現在地を見失い、自分が生きる意味がわからなくなった時、人は自分の「存在意義」を探し求めます。
存在意義とはつまり、自分が生きる理由です。地図のない人生をなんのために、どのように生きていくのか、自分が進むべき方向を示すコンパスのようなものです。

では「存在意義」が見つけられない、実感できないと、日々の仕事や暮らしにどのような影響があるのでしょうか。ここでは2つの影響について考えてみましょう。1つめは「自己効力感が下がる」ことによる影響、もう一つは「持ちこたえる力が弱まる」ことによる影響です。
1つ目の「自己効力感」とは、目標を成し遂げるための能力を自分自身が持っている状態であり、「自分なら乗り越えられる」「きっとうまくいく」という感覚のことです。自分の存在意義を見つけられている人は、自分の生きる目標がはっきりしており、どの方向に自分の時間やエネルギーを注いでいけばいいかが明確です。目標に向かって努力しているプロセス自体に充実感や喜びを感じることができるでしょう。
反対に、存在意義がうまく見つけられていない人は、そもそもの生きる目標があやふやです。誰かに必要とされている実感をもてないまま、自分を評価できず、自己効力感が低くなります。その結果、「どうせ自分なんか……」と行動する前から努力することをかんたんに諦めてしまったり、何をやるにもやる気をもてなくなりがちです。
存在意義を感じられない時の影響の2つ目は、「持ちこたえる力が弱まる」ことです。
思いがけない困難や試練に見舞われた時、その逆境に耐え、回復する能力には個人差があります。「持ちこたえる力」のある人は逆境に見舞われても、心が折れず、不遇を耐え抜き、回復、再生しやすいものです。
存在意義を見つけられている人は、思いがけない苦労や困難を背負っても、そこに意味を見つけ出すことができます。「この困難は、今の自分に必要なものだ。きっと意味があるはず」と前向きに受け止めることができるのです。
反対に、存在意義を感じられない人が逆境に見舞われると、自暴自棄になって、明日を生き抜く心のエネルギーを失ってしまうことがあります。
このように存在意義の有無は、毎日の仕事や暮らしに少なからず影響を与えます。
では、どうすれば自分の存在意義を見つけ、実感し続けることができるのでしょうか。
存在意義を見つけるプロセスとはつまり「自分自身は何者なのか」という問いの答えを探す旅路ともいえます。その答えを知るにはまず、自分がどのような社会集団に帰属しているのか、またはどのような価値観に親近感を感じるのかを考えることから始めてみましょう。
ここでいう社会集団には、家族や学校、職場、地域社会といった身近なものから民族や国家まで、さまざまなものがあります。それらはふだん、あまり意識していなかったとしても、私たちの生活を根底から支えているものです。そうした自分が属する家族や学校、職場とのつながり、そこでかかわる人との関係性を意識することが、存在意義を見出すきっかけになります。どうすれば、つながりが強化できるか。考え、できるものから実行してみましょう。
自分自身を冷静に見つめてみると、ひと言で「自分」といっても、さまざまな側面があることに気づきます。そこには「自分でも好きになれない」という短所や欠点があるかもしれません。しかし、中には「ここが自分のいいところだ」と思える長所や美点も隠れているのではないでしょうか。
長所と短所は、実は表裏一体の関係にある場合が多いもの。例えば「のんびりしている」という欠点があると思っている場合でも、見方を変えれば、それは「慎重さ」や「落ち着いた行動」の裏返しと考えることができるでしょう。
自分がやっていて楽しいと感じる趣味や興味を深堀りすることで、自分でも気づかない長所や美点を発見したり、自分自身のことだけでなく、他の人の持ち味に対しても同じような受けとめ方ができたりるようになります。意識して趣味や興味を探究してみましょう。
たとえば旅行をする場合、目的地が決まれば、そこまでのルートやスケジュールがおのずと定まるのと同じように、人生でも「どこへ向かうのか」の目標があやふやなままでは、どのような道を選び、どれくらいの速さで歩けばいいのかが定まりません。目標を考えることによって、これまでの生き方を冷静に振り返り、これから何を大切に生きていきたいのか、自分との対話が進みます。そうした対話を通じてこそ、自分が生きていく理由や方向性の解像度があがっていくものです。
簡単に答えがでるものではありませんが、常に考え続ける習慣が自分の「存在意義」を見出すことにつながります。まずは達成しやすい身近で小さな目標づくりから始めてみましょう。

いろいろな方法を試みても存在意義を感じられなかったり、前向きに行動する気持ちが起きなかったりする時は、心理的な解決が必要かもしれません。心理療法やカウンセリングなど専門家のサポートを受け、根本的な原因を探ってみるのも一案です。
仕事も人生もイキイキと自分らしく――。自分自身の中に「よりよく生きようとする力」を育て、自己効力感をもって目標に向かっていけるよう、自身の「存在意義」を見つけてみましょう。
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